二日酔い対策(医師監修)
2023.09.17
医療情報トピック
Q. 二日酔いはなぜ起こるのですか?
二日酔い(ふつかよい)は、飲酒の翌日に感じる不快な症状のことを指します。これは、過剰なアルコール摂取によって引き起こされる現象で、一般的にはアルコールの代謝物質であるアセトアルデヒドが体内に蓄積し、体への影響が現れるためです。
Q. 二日酔いの症状にはどのようなものがありますか?
頭痛:血管が収縮し、頭部の血流が制限されることにより、頭痛が発生します。
吐き気と嘔吐:アセトアルデヒドの毒性が胃に刺激を与え、吐き気や嘔吐の症状が現れます。
脱水症状:アルコールは利尿作用を持ち、体内から水分が失われるため、脱水症状が起こりやすいです。
疲労感:アルコールが中枢神経系に影響を与え、疲労感が増加します。
過敏症状:騒音や光に対する感受性が高まり、過敏症状が現れることがあります。
脱水:アルコールの利尿作用により、体内から多くの水分が失われ、脱水症状が引き起こされます。
睡眠障害:飲酒により睡眠の質が低下し、睡眠中に休息が得られないことが疲労感を増加させます。
胃への刺激:アセトアルデヒドが胃を刺激し、吐き気や嘔吐を引き起こします。
炎症反応:アルコールの摂取により、炎症反応が起こり、頭痛や体の不快感が現れます。
Q. お酒の席は楽しいのですが、翌日気分が悪くなります。何か対策はありますか?
二日酔いの原因はアセトアルデヒドによる炎症の惹起、血管痛、また血管内脱水などが大きな影響を及ぼしています。これらの早急な排出・代謝が二日酔い改善の第一歩となります。
◯水を飲む
二日酔いの症状の一つに脱水症状があるため、水分摂取が非常に重要です。以下は、なぜ水分摂取が必要かの理由です:
利尿作用による水分喪失: アルコールは腎臓の機能を刺激し、尿の排泄を増加させます。これは利尿作用と呼ばれ、体内から水分が失われる主な要因です。多くの場合、二日酔いの翌朝になると、尿の排出量が通常よりも増加していることが観察されます。
脱水症状の発症: 脱水症状は体内の水分が不足している状態を指します。アルコールによる利尿作用と、嘔吐などの症状によって水分が大量に失われると、脱水症状が現れやすくなります。脱水症状は頭痛、倦怠感、めまい、口渇、筋肉のけいれんなどの症状を引き起こすことがあります。
症状の緩和: 水分摂取は二日酔いの症状を軽減するのに役立ちます。水分補給により、体内の水分バランスが回復し、頭痛や吐き気などの不快な症状が緩和されることがあります。
アルコールの代謝促進: 水分を摂ることで、体内の代謝プロセスが促進され、アルコールやその代謝物質の排泄が促進されます。これにより、アルコールの体内滞留時間が短縮され、二日酔いの症状が改善される可能性が高まります。
◯五苓散
五苓散(ごれいさん)は、中国の伝統的な漢方薬の一つで、特に潰瘍や下痢、水分代謝に関連する症状の治療に使用されます。この漢方薬は、古典的な漢方文献である『傷寒論』に記載されており、湿熱病態に対処するための方剤として知られています。
五苓散の主要な成分は、次の五つの漢方薬から取られており、それぞれの成分が異なる病状や症状に対処する役割を果たします。
沢瀉(タクシャ): 沢瀉は湿気や水分の滞留を排除し、浮腫(むくみ)を軽減するのに役立ちます。
猪苓(チョレイ): 猪苓は湿気による体調不良を改善し、特に腹部の不快感や浮腫を和らげるのに使われます。
蒼朮(ソウジュツ): 蒼朮は湿気を体内から追い出し、胃腸の調子を整え、消化不良を緩和します。
茯苓(ブクリョウ): 茯苓は湿気の排除と浮腫の軽減に寄与し、特に尿の排泄をサポートします。
桂皮(ケイヒ): 桂皮は胃腸の不調を和らげ、食欲を増進させる役割を果たします。
五苓散は利尿薬と異なる大きな特徴を持っています。マウスを用いた実験ではありますが、『利尿薬は脱水症状でも利尿効果(おしっこを出す)があるのに対し、五苓散は浮腫状態の場合に利尿効果が認められた』との論文が発表されています。注)
注)モデルマウスを用いた漢方方剤の利水作用の検証:和漢医薬学会:大西憲明 著 · 2000
ハイチオール
ハイチオールは、アルコールの代謝をサポートし、二日酔いの症状を軽減する効果があると言われています。以下は、ハイチオールが二日酔いに対してどのように効果を発揮するかの詳細です:
アセトアルデヒドの無毒化:アルコールを体内で代謝する過程で、有害な代謝物質であるアセトアルデヒドが生成されます。アセトアルデヒドは体にとって毒性が高く、二日酔いの主要な原因の一つとされています。ハイチオールに含まれる成分が、アセトアルデヒドを無毒化する手助けをすると言われています。このため、ハイチオールを摂取することで、アルコール摂取後のアセトアルデヒドの体内滞在時間が短縮され、二日酔いの症状が軽減される可能性があります。
肝臓のサポート:ハイチオールは肝臓の健康をサポートし、アルコールの代謝を促進する作用があります。肝臓はアルコールの代謝を主に担当しており、ハイチオールが肝臓の機能を助けることで、アルコールの代謝がスムーズに行われ、アセトアルデヒドの蓄積が抑制されると考えられています。
抗酸化作用:ハイチオールには抗酸化作用があるため、アルコールによる体内の酸化ストレスを軽減する助けになります。酸化ストレスは疲労や体調不良の原因の一つであり、ハイチオールの抗酸化作用が二日酔いの症状を緩和するのに寄与する可能性があります。
東北大学の研究チームは、アルコール摂取後の胃液中のアセトアルデヒドの増加を抑制する役割があるとされ、その結果二日酔いの改善効果が期待できるとされるアミノ酸「L-システイン」について、健康食品などに応用可能であることを発表しました。
「ALDH2不活性型」と呼ばれる代謝が遅いタイプの人々は、少量のアルコールを摂取しても、アセトアルデヒドが体内にたまり、顔が紅潮し、動悸などのさまざまな有害な反応が起こります。
この研究によれば、徐放性のL-システインを摂取することで、胃の中のアセトアルデヒドがALDH2不活性型の人では60%も減少することが確認されました。そして、この効果は2時間続くことが示されました。
ビタミンB群
まず、アルコールを体内で分解し、最終的にエネルギーを生成する過程で、ビタミンB1が必要です。アルコールの代謝にはビタミンB1が関与し、その過程で消費されるのです。
さらに、大量のアルコールを摂取すると、アセトアルデヒドという有害な代謝物質が生成されます。通常、アセトアルデヒドはALDH2という酵素によって分解されますが、大量のアルコールを摂取した場合、この分解が追いつかなくなります。その結果、別の経路を介してアセトアルデヒドが分解され、この反応には大量のビタミンB1が必要です。このため、アルコールを大量に摂取すると、ビタミンB1が大量に消費されてしまいます。
さらに、アルコールはビタミンB1の吸収を妨げることが知られており、摂取したビタミンB1を効率よく吸収できなくなることがあります。また、アルコールはビタミンB1の排泄を促進する作用も持っているため、ビタミンB1の不足が起こりやすくなります。
このような理由から、アルコール摂取によってビタミンB1が消費され、不足が生じる可能性が高まることが知られています。したがって、適度な飲酒やバランスの取れた食事が重要で、ビタミンB1の不足を予防するのに役立ちます。
グリチロン
「グリチロン」は、一般的な二日酔いの症状を軽減するために利用される自然由来の成分です。具体的には、グリチロンは甘草の根から抽出され、古代から薬用として用いられてきました。
胃の保護作用: グリチロンには胃粘膜を保護する効果があります。アルコール摂取によって、胃の内壁が刺激され、炎症が引き起こることがあります。グリチロンは、胃内の粘膜を保護し、胃の不快感や痛みを緩和するのに役立ちます。
抗炎症作用: グリチロンは抗炎症作用を持っており、アルコールによる体内の炎症反応を和らげるのに寄与します。二日酔いの症状の一部は、アルコール摂取に伴う体内の炎症に起因しています。グリチロンの抗炎症作用は、頭痛や不快感などの症状の軽減に寄与します。
鎮静作用: グリチロンには鎮静効果があり、不安感や神経過敏を緩和するのに助けとなります。アルコール摂取後、神経系が興奮し、不安やイライラが増えることがあります。グリチロンの鎮静作用は、リラックス感をもたらし、不快感を和らげる可能性があります。
Q. 三鷹ヒロクリニックで購入可能ですか?
当院で購入可能です。二日酔い予防として上で説明した内服などが効果的です。ただし、予防ですので保険適応外の自費購入となります。郵送も対応しています。
不明な点はお気軽にTEL(0422-38-5171)にてご連絡ください。
◯「二日酔い対策セット」
・五苓散 7.5g分3
・グリチロン配合錠 3T
・ノイロビタン配合錠 3T3
◯診察料:3000円
◯一ヶ月分:11,700円
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